前回のエントリでは、知財を、SWOT分析、特に内部環境のS(強み)と絡めて考えることについて触れました。S(強み)について「発掘・抽出」「見える化」することで「どのような情報等が知財として価値があるか」が明らかになり、さらに、明らかになった知財の「活かし方」を考えることで「事業計画へ知財情報を活かす」ことができます。
知的資産WEEK2024では触れませんでしたが、今回は、外部環境(O機会、T脅威)について、どのように知財情報が活用できるか、ということについて書いてみたいと思います。
知財情報は外部環境分析にめちゃんこ使える
外部環境ついては、マクロ環境分析で「PEST分析」、ミクロ環境分析で「5フォース分析」といった分析を行うと思います。これらの分析において、知財情報は、特に、製品/サービス企画開発や製造を行う企業様にとって、めちゃんこ活躍してくれます。
…などと、あたかも自分で発見したみたいに言ってますが、完全に下の本の受け売りです(笑)。経営支援・マーケティング支援を行う皆様にこの本を激推ししておきます。
以下では、この本を「ツール本」と呼ばせていただき(笑)、適宜引用を織り交ぜながら、この本に書いてあることを、あたかも自説かのようにご紹介いたします(知財人としてそれやっちゃダメ。と言われる前に種明かししました)。
◆PEST分析での知財情報の活用
ツール本によると、マクロ環境分析で利用される「PEST分析」では、特にT(技術)につき、「技術の全体動向、研究開発動向は知財情報すなわち特許出願の状況から読み取れることが多い」(p.43)とされています。
なんなら「世界の技術情報の8割は特許情報とも言われている」(p.31)とのことなので、T(技術)情報分析に「知財の視点と知財情報が欠かすことができない」(p.43)のは当然といえるでしょう。
ちなみに、特許庁では「特許技術動向調査」結果を発表しています。動向を見るために、1社だけではこんな大がかりな調査はなかなかできないので、大いに活用したいですね!
なお、ツール本では、特許情報だけでなく、投資情報を組み合わせて見ることで、どの技術分野に投資が進んでいるか(=成長分野)を見ることができる、とされていますが(p.43)、ここまで出来なくても、やはり知財情報は見ておきたいですね。
特許庁の「特許技術動向調査」で挙げられている分野であれば儲けもんです。そうでなければ、弁理士や知財情報分析専門家の力を借りるとよいと思います!
※ツール本では、さらに、P(政治的・法律的要因)情報にも知財情報が使えるとされていますが、かなりテクニカルな話なのでここでは割愛します。ご興味のある方は最強ツール本をご覧ください!
◆5フォース分析
ミクロ環境分析で用いられる「5フォース分析」でも、知財情報は大活躍してくれます。特に、新規の業界へ進出しようと検討する際に「その業界において競合となる他社がいかなる知財を持っているのかは、5フォース分析において必要不可欠な情報といえ」(p.52)、「知財は5フォース分析においては必須の情報」(p.53)と、ツール本でも明言されています。
中小企業様もぜひ活用を
中小企業様にとって、「PEST分析」や「5フォース分析」で知財情報を活用することはハードルが高そうに思えます。しかし、活用しない場合は、技術の全体動向情報や競合他社情報等の解像度が低くなり、見えるものも見えなくなる可能性があると思います。
知財情報を活用した場合、分析結果の情報に基づいて、新たな取引先や提携先の目星がついたり(O(機会))、他企業が力を入れている分野(T(脅威))を避けて自社が狙うべき市場を探れる(O(機会))といったように、O(機会)やT(脅威)を、解像度高く明らかにできる可能性が高まります。
外部環境分析に使う情報の1つとして、知財情報をリストに入れておくことを、お勧めいたします!
知的財産を経営に活かすお手伝いも承ります。こちらからお問合せください。
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