前回の並行輸入に関する投稿記事で、ちらっとこんなことに触れました。
真正品であることを誰が保証するのか(海外の売主か/自社か)、もしニセモノで問題が生じたとき誰がどこまでの責任や金銭を負担するのか、などといった問題
製品の売買契約・開発委託・製造委託等の取引に関する契約では、このような問題に関する条項定めることが多いと思います。
こういった条項は、一般的に、下記のように呼ばれます。
・保証条項:他者の知的財産権を侵害しないことを保証することを規定する条項
・補償条項:知的財産権の問題が生じた場合の種々負担を補償することを規定する条項
基本的に契約は当事者間の同意があれば有効となりますが、発注側と受注側との関係(特に、元請けと下請けの関係)では力関係が不均衡になりがちで、力の弱い側が不本意ながら同意せざるを得ないことが多く、しばしば問題となります。
「保証条項」「補償条項」についても、中小企業に一方的に責任を転嫁させるような条項が問題になることが少なくありませんが、つい先日、経済産業省から、このようなアナウンスがありました。
ここに書かれているように、「知的財産取引に関するガイドライン」では、「保証条項」「補償条項」について、下記のような考え方が示されています。
5.知財訴訟等のリスクの転嫁
【あるべき姿】
発注者の指示に基づく業務について、知的財産権上の責任を、中小企業等に一方的に転嫁してはならない。
発注者の指示に基づく業務について、仮に他社の知的財産権を侵害した場合、それを受注者側に一方的に転嫁させることや、その旨を契約に定めることは適正な取引とはいえない。(略)
この考え方に基づき、下請中小企業振興法に基づく「振興基準」では、附属資料の「契約書ひな形」の活用を推奨しています。ご存知でしたでしょうか。
ぜひ一度お目通しされることをお勧めします。
今回のアナウンスでは、なお中小企業に責任転嫁する条項を含む契約が締結されているという実態を把握し、同様のケースが生じることを防止するため、「ガイドライン」と「契約書ひな形」を、より実態に即して改正する予定である、とのことです。
改正がありましたら、改めて、このコラムでもご紹介したいと思います。
知的財産に関するご相談も承ります。こちらからお問合せください。
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