日本製品はアジアで不動の根強い人気がありますね。
円安や少子高齢化による国内市場の縮小等を考慮して、アジアに製品を輸出しようと考える中小企業さんも少なくありません。
実際に輸出しようと思うと、販路を開拓し、相手方と交渉・契約し、輸出に関する面倒な手続をあれやこれや行い…
といったように、様々な業務を行う必要があり、簡単ではありません。
それでも、色んな人の手を借りて何とか進めて…、
さぁ、いざ輸出!
…
ちょっと待ってください。
知的財産権(特許権、意匠権、商標権等)のことは考慮されましたでしょうか。
知的財産権は、基本的に、国ごとに効力が発生しますので、
日本で自社が権利を持っているからといって、輸出先の国でその権利は通用しないです。
ですので、輸出しようとしたら、その国で勝手に権利を取られていた、という可能性があります。
あくまでわたしの経験上ですが、中小企業さんが、そういったトラブルに巻き込まれて苦労されたケースをいくつも扱いました。
え?
「うちみたいな小さな会社がそんなトラブルに巻き込まれないだろう」
ですと?
甘いー、甘いです。
従業員数人の小規模事業者さんのケースを扱ったことも、複数回あります。
社名や商品名が勝手に商標登録されていた、自社HPから製品の写真を盗用されて勝手に意匠登録されていた(著作権法上も問題あり)…
など、「マジか!?」とびっくりするような事案が実際にあります。
”勝手に登録した”ということは、何らかの意図があるはず。
経験したケースのうちあるケースでは、勝手に商標登録された時期が、輸出しようとしていた時期に近かったので、事業者さんがそのまま輸出を行うと、トラブルに巻き込まれる可能性が高いと考えられました。
かといって、その商標登録を潰すことは正直難しいと考えられた上に、潰す手続には費用も時間もかかります(補助金を使ったとしても、全額補助されるわけではないですからね…)。
一方で、その商標は色んなところで使われているので、輸出する分だけ商標を変更することも現実的ではありませんでした。
かように、事業者さんにとってかなり苦しい状況でした。
色々と検討した結局、その事業者さんは、その国への輸出を断念せざるを得なくなりました。
大きなマーケットでしたので、非常に残念です。
こういった経験からお伝えしたいのは
販路開拓や輸出手続を完了する前に(又は少なくとも並行して)、輸出国での知的財産権に関するチェックを行うべし!
ということです。
事前に問題発見できれば、対処法があるかもしれず。
輸出のために行ってきた業務を無駄にしないために、ぜひとも念頭に置いていただければ!
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