【中小企業診断士のための知財小ネタ】殆どの企業に関係する知財2選!


中小企業診断士の皆さん、こんにちは!

唐突ですが、1次試験の「経営法務」で勉強した「知的財産権」のこと、どれくらい覚えてますかー?今年診断士になったばかりのフレッシュな方でも、1次試験から1年経った今「あ~ 特許とか商標とか著作権とか… ウロオボエ…」ってなってませんかー?(笑)
自分も、普段の業務に関わらない他の科目では、まぁまぁそんな感じになってます!(汗
しかも、知財って、中小企業の経営支援においては、傍流ぽい位置づけですしねー!(悲

でも、知財って経営に大きな影響を与えることがあるんです!弁理士は日常的にそんなご相談を受けてるので、知財の経営における重要性をひしひし感じておるわけです。
けど、そんなご相談があることは、弁理士(や弁護士)以外には、あんまし知られてないですね…😞

なので、このコラムでは
【中小企業診断士のための知財小ネタ】
シリーズとして、「なぜに知財が中小企業の経営に重要なのか」を、小ネタとしてお伝えしていこうと思います!


殆どの中小企業に関係する知財2選!

まずは手始めとして、「殆どの企業に関係する知財」について書いてみたいと思います。
「殆どの企業に関係する知財」2選はこれです!

●営業秘密
●商標

ありゃ。知財の王様「特許」が入ってませんね。

なぜにこの2つ?
今回は「営業秘密」に絞って解説していこうと思います。


営業秘密とは

営業秘密」とは、
『「技術上又は営業上の情報」であり、「企業や事業主が秘密として管理しており、事業活動に有用な情報で、公然と知られていないもの」』
のことを指しますねー。

技術上の秘密」とか「営業上の秘密」ってのを具体的にいうと、こんな感じです。

技術上の秘密」に該当するものとしては、例えば、製造技術、設計図、実験データ、研究レポートなどがあります。
営業上の秘密」に該当するものとしては、例えば、顧客名簿、販売マニュアル、仕入れ先リスト、原価データ等があります。

技術上の秘密」は、研究開発、企画開発、製造等を行う企業で創り出される情報なので、「知財」であることはすんなり理解されやすそうですねー!

一方、「営業上の秘密」が「知財」であることは、ちょっとピンと来ないかもしれませんね?

営業上の秘密」も、”事業活動に有用な情報”、つまり、”漏洩するとマズい財産的な価値がある情報”ですね。立派に”知財”ということができます。

そして、こういった「営業上の秘密」は、業種にかかわらず、殆どの企業や事業主が保有していますね。これが「殆どの企業に関係する知財」として「営業秘密」を挙げた所以です!


「営業秘密」が保護されないと、どえらいことになることも

営業秘密」が漏洩して問題になる典型的なパターンは、退職者が「営業秘密」を持ち出してライバル企業の中で活用する、というケースです。

例えば、今年2024年2月に、「はま寿司」から「カッパ寿司」に転職した従業員が、「はま寿司」の「営業秘密」(仕入先データや原価データ等)を「カッパ寿司」側に開示したことが問題となり、有罪判決を受けた事件があったことは、記憶に新しいところです。

「かっぱ寿司」運営カッパ・クリエイトに有罪判決 はま寿司の営業秘密侵害 - 日本経済新聞
違反(営業秘密侵害)罪に問われた法人としての「かっぱ寿司」運営会社カッパ・クリエイトなどの判決公判が26日、東京地裁であった。島戸純裁判長はカッパ社に求刑通り罰金3千万円の有罪判決...

このように情報が情報が「営業秘密」として法律(不正競争防止法)で保護されるためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
上記事件では、持ち出された情報が、以下の3要件を満たすか否かで争いになったようですね。

1 非公知性
 ごく簡単にいえば、書籍やネット等で一般に公開されておらず、企業関係者等だけしか知らない情報、ということです。

2 有用性
 ごく簡単にいえば、事業活動に有用な情報、ということです。

3 秘密管理性
 ごく簡単にいえば、情報に接する関係者が、秘密情報と認識できるように管理されている情報、ということです。
 (例えば、「マル秘」表示、情報へのアクセス権設定、秘密保持契約の締結、社内ルールの徹底…等々 がきちんとなされている必要があります。)
 

これら3つの要件を兼ね備えた情報は「営業秘密」として法律上保護されます。

逆にいえば、これらの3つの要件を1つでも満たしていない情報は、いくら価値があっても、保護されないのです!

特に、「秘密管理性」の要件を満たさず保護されない、というケースが非常に多いです…!
法律上保護されずに泣き寝入りするしかなかったケースが多いことよ…。


中小企業にも起こり得る!

もしかして「小さな企業では、そんな大げさな問題は起きないのでは?」と思われたかもしれませんね!
しかし、我々弁理士(や弁護士)は、中小企業からこのような相談を受けることが少なくないですのです!

営業秘密」で問題になるのは、上記の「はま寿司」事件のように、退職者が情報を持ち出す場合が典型パターンです。価値がある情報でなければ持ち出されたりはしないので、持ち出されたときのダメージが大きいことは想像できるかと思います!

ここまでこのコラムを読んでいただいた方、今からでも、企業の有用な情報を「営業秘密」として保護できるように、社内整備を進めてみるようにクライアント様に勧めてみてはいかがでしょうか。


営業秘密に関しては、こちらの経産省のパンフレットで、わかりやすく解説されていますので、ぜひご覧ください。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/shitteokitai_eigyohimitsu.pdf



「営業秘密」として保護するための社内整備のご支援も承っております。詳細はこちらからお問合せください。

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